海外ではメジャーになっているカジノですが、日本ではどうなっているのでしょうか?
2016年、日本でカジノ法が成立しました。
カジノ法のことを知らない方でも分かりやすく、カジノ法のメリット・デメリットを説明していきます。
目次
カジノ法とは?
カジノ法の構想自体は、2013年の自民党の公約から始まりました。
そして、2016年に可決されたカジノ法により、日本のカジノ施設の設置を推進することに法的な根拠が加わりました。
カジノ法と聞くと、カジノだけをイメージするかと思いますが、ホテルやレストラン、ショッピング施設などを含んだ複合施設のことを指します。
そしてカジノ法とは、統合型リゾート(IR)整備推進法のことで、正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」となっています。
そのため、カジノを設置するためではなく、統合型リゾート(IR)を作るための法律です。
また、2018年には、カジノ法をより具体的な制度によって定めた「IR整備法」が成立し、まとめて「カジノ法」案と呼ばれています。
IRとは?【カジノだけじゃない!】
今回のカジノ法でIRをはじめて聞くと、カジノのイメージが先行してしまい、カジノの本場のラスベガスやマカオなどを想像してしまいがちです。
しかし、IRとは「統合型リゾート」のことを指します。
そのため、カジノだけでなくホテル、劇場、ショッピングモール、レストランといったさまざまな施設をまとめて設置した複合型観光集客施設を指します。
IRは、シンガポールやラスベガス、マカオなど世界各国で設置されており、リゾート地として地域の観光業に貢献しています。
カジノだけではなくさまざまな複合施設が集まっているので、老若男女問わずに楽しめるリゾート地となっています。
例として、IRの代表格であるラスベガスを紹介すると、ラスベガスではカジノの収益は全体の1/3ほどの収益です。
しかし、スポーツイベントやマジックショー、サーカスなどのイベント事業が充実していてカジノの収益と同じぐらいの収益があります。
そしてIRでは、カジノで収益を出している分、他の施設では利益よりも質を重視する傾向にあります。
実際にラスベガスやマカオなどは、ラグジュアリーさを前面に押し出した「観光都市」として賑わっています。
2021年横浜市長選で話題になった「IR誘致」
過去最多の8人が立候補した横浜市長選が、2021年8月22日投票がおこなわれました。
新型コロナウイルス対策だけでなく、IR誘致の是非が争点となっていました。
結果は、立憲民主党が推薦した山中氏が初当選しましたが、山中氏はIR誘致反対を訴えていました。
横浜市民の民意もIR反対派が多く、投票率も約49%と例年と比べて高い中で、IR誘致に反対的な意見が取り上げられています。
誘致の予定地は、横浜中華街や元町商店街に近い横浜港の山下ふ頭で、横浜港の経済成長を支えてきた場所です。
しかし、港の外側に大型船に対応したふ頭が作られ次第に役割を終えてきていました。
そのため、2019年に前職の林氏は山下ふ頭にIR誘致を発表し、大規模な展示場、ホテル、劇場、ショッピングモールなどの施設で観光客を集客しようと考え、カジノの収益で運営を考えていました。
また、IR誘致推進事業費として、横浜市は10億円の予算を計上していました。
このように、都市の再生化も狙えるIR誘致ではありますが、莫大な予算がかかります。
加えて、カジノ=ギャンブルという、日本では公営ギャンブル以外の「賭博禁止」が歴史上続いたために、カジノにネガティブなイメージを持つ市民も少なくありません。
カジノ法が制定されたとはいえ、現場でのIR誘致活動は難しい状況が浮き彫りになった2021年の横浜市長選でした。
カジノ法|メリット・デメリット
カジノ法の制定によって、都市の活性化も見込める一方で、莫大な予算や広大な土地が必要になったり、民意の統一がとれにくいことが分かっています。
改めて、カジノ法のメリットとデメリットをまとめてみます。
カジノ法のメリット
カジノ法による一番のメリットは、経済効果です。
カジノ施設の「建設による経済効果」と「運営による継続的な経済効果」などが考えられます。
また、外国人観光客増加により物が売れたりします。
例えば、中国人観光客による爆買いが過去にはニュースでも取り上げられていました。
さらに、地域のインフラも整備されるので、道路の整備や拡張に加えて電車の各路線の延長などが行われます。
そのため、交通網のさらなる利便性や渋滞緩和なども期待できます。
他にも、地域雇用の活性化に繋がります。
IRは、ただのカジノ施設ではなく統合型リゾートであるため、ホテルやショッピングモールの建設が決まると、地域の雇用が増える結果となります。
カジノ法のデメリット
現在、日本ではパチンコや競馬などでギャンブル依存症になる人も多く、カジノができることにより、さらにギャンブル依存症の人が増えることが懸念されます。
しかし、IR誘致=ギャンブルだけではありません。
カジノだけでなく統合型リゾートであるため、ショッピングや映画など、娯楽を楽しめます。
ギャンブル以外のデメリットにも目を向てみると、治安の悪化やマネーロンダリングなどが挙げられるでしょう。
IRができた際には、多くの外国人が日本を訪れることが予想され、混雑や混乱、施設周辺の治安の悪化が懸念されます。
また、カジノに一度お金を預けるとお金の出所が分からなくなるので、マネーロンダリングに悪用される恐れがあります。
日本にカジノはできるのか?
2016年にカジノ法である統合型リゾート(IR)整備推進法案ができ、2018年にはIR推進法が制定。
日本でもカジノ設置に向け法律の整備が進んできています。
しかし、法律ができたからといってカジノを作ってもいいのか?という疑問が生まれてきますよね。
ここからは、そういった疑問を解決していきますので、疑問の解消に役立ててください。
カジノ法の流れ①【IR推進法成立】
2016年12月に施行され、カジノを中心にホテルなどの宿泊施設、商業施設、テーマパークなどを一括で整備する統合型リゾート(IR)の設立を推進する基本的な法律です。
日本では、カジノが禁じられていたことを受け、カジノ法と呼ばれています。
観光及び地域経済の振興に寄与し、IRの整備の推進にかかわる基本理念及び基本方針などを定めたり、推進本部を設置することを決めた法律となっています。
そのため、IR推進法では具体的な整備や運営などはまだ決まっておらず、あくまで方針などの大枠を決める段階です。
カジノ法の流れ②【IR推進本部設置】
IR推進本部の正式名称は「特定複合観光施設区域整備推進本部」と呼ばれています。
IR推進法成立に伴い、IRの法律の整備と推進を集中的に行うために、2017年3月より日本の内閣に設置された機関です。
本部長は(2021年現)首相である岸田文雄氏です。
IRにかかわる法律は、IR推進本部で整備され国会に提出されていくことになります。
カジノ法の流れ③【IR整備法(実施法)成立】
令和3年7月19日に施行されました。
簡単にいうと「認定された事業所は、カジノ管理委員会の許可を受ければ免許にあるカジノの種類でカジノ事業を行えることができる」とされています。
そして、カジノ管理委員会の許可を受けていれば賭博罪が適用されないことが決定しました。
また、依存症対策に加えて日本国内の客の入場制限も制定されました。
具体的な数字として、7日間で3回、28日間で10回に入場制限されています。
カジノ法の流れ④【ギャンブル等依存症対策基本法成立】
カジノ法で最大の懸念であった、ギャンブル依存症に対する対策を法律で制定しました。
そして政府が基本計画を計画し、都道府県にその計画を守る努力義務を課しています。
また、内閣内にギャンブル等依存症対策推進本部を設置しました。
さらに、国民に広くギャンブル等依存症の関心や理解を深めるために、5月14~20日までを啓発期間に設定しました。
結果として、IRによるカジノでギャンブル等依存症になる人を減らすために、対策を法律にまとめたことになります。
カジノ法の流れ⑤【カジノ管理委員会発足】
2020年1月に発足した行政機関の一つで、内閣総理大臣の所轄のもとに設置されました。
カジノ施設の設置、運営の維持や安全を守るための機関です。
具体的な業務としては、カジノ事業者の監督、カジノ免許の審査など、カジノ運営に関わっていきます。
また、ギャンブル依存対策、マネーロンダリング対策や青少年の健全育成などのカジノによる懸念点の対策だけでなく、外国規制当局との連携業務も取りまとめていく役目を担っています。
他のIRが設置されている外国と同じく、国が認めたカジノ管理委員会で管理していくことを目指しています。
カジノ法の流れ⑥ 【IR設置基本方針の策定】
2020年12月、IRの実際の開業のベースとなる方針で、政府によって策定されました。
国が決めた基本方針としては、自治体やIR事業者に対してギャンブル依存症などの防止策を行なうことが定められました。
しかし、基本方針案の策定・公表は新型コロナウイルスにより遅れています。
(2021年12月現在)そのため、各自治体の対応もそれに併せて具体的な提案審査書類の提出を延期しています。
また、IRをめぐる汚職事件の収賄容疑で議員が逮捕されるといった、IRの信頼を揺るがす事案もありました。
そのため、IR整備を進めていくにあたり公平性を示していくために、IR事業者との面談は複数でおこない、記録をしっかりと残すことも決められました。
カジノ法の流れ⑦ 【IR設置自治体3カ所の決定】
国がIR設置自治体を3カ所と決めており、各自治体がIR誘致のために準備を進めています(2021年11月現在)。
IRの誘致を希望する自治体は、都道府県・政令指定都市が主体となって国に認定審査をおこなう必要があります。
2021年11月現在の有力知候補3カ所は、大阪府大阪市、長崎県佐世保市、和歌山県和歌山市です。
そして、IR誘致から撤退した候補地は、神奈川県横浜市、北海道苫小牧市、千葉県幕張市となっています。
2021年11月現在はここで止まっており、2022年中に候補地を正式に決定する予定です。
カジノ法の流れ⑧ 【今後は?】
今後の流れは、政府から正式にIR設置場所が決められてからになりますが、選ばれた自治体は都道府県・政令指定都市と協力してIR事業者を選んでいくことになります。
IR事業者が決定次第、IR開発計画がスタートしていき、IR事業者側と自治体でプランを話し合い、構想を練っていきます。
そして、お互いに納得のいく構想ができたらIR開発が進んでいきそのまま開業まで進めていきます。
しかし、地方自治体が申請したら国に自動的に認定されるわけではありません。
そのため、地域住民への十分な説明と理解が必要となってきており、地域住民を説得することができないと国に認定されることが難しいことが想像されます。
また、はじめは全国でIR設置自治体は3カ所と限定されていますが、見直しの規定が定められています。
そのため認定から7年後にさらに整備されるエリアが増えることが想像され、IR設置自治体が増えていく可能性があります。
IR誘致に名乗りを挙げている自治体
IR誘致に名乗りを挙げている自治体は、大阪府大阪市の夢洲、長崎県佐世保市のハウステンボス、和歌山県和歌山市の和歌山マリーナシティです。
有力候補であった横浜市は、カジノ誘致を反対する候補者が市長に当選(前述)したことにより誘致を撤回しています。
また、撤退の意思表示をしていないものの、具体的な誘致準備を名言していない自治体として、東京お台場、愛知県名古屋市、愛知県常滑市があります。
IR誘致に名乗りを挙げている、大阪、長崎、和歌山についてどのような取り組みをしているかを紹介していきます。
大阪府大阪市の夢洲
2025年に大阪で万博が開催されることが決まっており、万博とIRのセットを売りにして多くの観光客を集めることによる経済効果を考えています。
しかし、コロナウイルスの影響もあり2025年に全面的にIR開業をするのが難しくなっています。
万博とIRを単体の誘致と考えていくのか、動向が気になります。
長崎県佐世保市ハウステンボス
IR誘致を反対する都市が多いなか、長崎では賛成派が反対派を上回っています。
そして、ハウステンボスのイメージを生かしてヨーロッパ風のカジノを目指していくと言われています。
また、約9,000平米のカジノエリアを設置予定で、大規模なカジノエリアを予定しています。
和歌山県 和歌山市 和歌山マリーナシティ
予定地となる和歌山マリーナシティは、海に面しており海産物やマリンレジャーを楽しむことができます。
また、初期費用として約4,000億を投じホテルや国際会議場などの建設を予定しています。
【まとめ】
カジノ法、IR法は、ギャンブルを許可するだけの簡単な法ではありません。
法が成立され、整備されていく背景には、各自治体の思いや、経済振興も含まれているのです。
今後の動向に注目しておくと、カジノ法の流れもよく分かるでしょう。
監修者

オンラインカジノ「Betrnk」を世界に発信・拡大していくスペシャルチーム。
Betrnkニュースでは、Betrnkにとどまらず、世界中のオンラインカジノ・ランドカジノを取り巻くあらゆる情勢を調査・分析している。
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